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ファミリーセールを終えて





二日間にわたる久しぶりのファミリーセールは昔からのマーレンカファンや
新規のお客様に沢山来ていただき、好評のうちに終える事ができました。

足を運んで下さった皆さま、本当にありがとうございました。

久しぶりに歴代の洋服を並べて思った事。

手刺繍やレースをふんだんに使った贅沢なモノ創りをしていた事を
改めて誇りに思いました。

今多く出回る、薄っぺらで安っぽい商品に身を包み、何を思う事ができるしょう。

身につける全てのものは、自分の表れ。

本物を手にする事が出来ない社会は、本当に悲しい。

ファーストフード、ファストファッションが社会の多くを占めて、
文化度が非常に下がっている気がします。


安物の多くは、途上国で搾取している事を、私たちは忘れてはなりません。


TUNAGU&TUMUGUバッグが7月下旬から、アッシュ・ペー・フランスの「ライチ」店に
入る事が決まりました。

新宿・池袋・立川・大阪の皆さまに、ぜひ、手にとって頂きたい。

商品を通して、皆さまと繋がる事を楽しみにしています。


丸子安子

TUNAGU&TUMUGUバッグのネット購入はコチラ↓
http://maarenca.net/#!/




この度はレース編みの陸前高田「夢工房めぐみ」さま、ビーズの「荒川区町屋あさがお」さま、
フリル&リサイクルハガキの江戸川区「工房ぷらっつ」さまには、無理を言って早く仕上げて頂きました。
本当にご協力、感謝いたします。 ありがとうございました。
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by maarenca | 2014-06-30 12:37 | TUNAGU&TUMUGU

THE SIX ELEMENTS STORY No5






THE SIX ELEMENTS STORY




No5


                                                          著 水望月 飛翔


 三人は言葉を失った。
「まさかこのような事が、この大地の領土で起こっていようとは。これは、もしや「迷いの森」での
攻撃が原因なのか?」ロードスは顔をこわばらせた。
「ロードス殿。そのように決めつけてはなりませぬ。」ユランがそう言うと、ゼンスも神妙な面持ちで
ロードスに近づいたのだった。

「空の領土の誇り、気高き賢者ロードス・クレオリス殿。今大事な事は、そのような詮索ではござらぬ。
今は一刻も早く大地の王妃の元へ行き、お助けする事じゃろう?」問いかけとは裏腹に、
ゼンスは有無をも言わさぬ強い視線を、ロードスに向けたのだった。
 
まっすぐに見つめるゼンスにロードスは、今は時間を使う事を避けるため、うなづいた。
「分りました。今はその事に集中いたしましょう。」そう言うと、三人はこれからの段取りを話し合ったのだった。

 しばらくして目をさまし、ゆっくりと身体を起こすユーリス王子。
そして、三賢者の姿を不思議そうに見つめている王子の元に、三人は歩み寄ると、
静かに膝まづいたのだった。

 「良いですかな王子。我らはすぐにも大地の王に、非常に大事な話をせねばなりませぬ。
これは、一刻も時間を無駄にはできぬ事。どうぞ我らと共にすぐに大地の城にお戻りくださいませ。
もちろん、その鳥は城に着いてからすぐに傷の手当をいたしましょう。」
心の動揺を王子に悟られないよう、ゆっくりと落ち着いた調子でゼンスが言うと、
王子は神妙な面持ちでうなずき、三賢者と連れ立って、王の城へと急いだのだった。

「この三人だったら、きっと何とかしてくれるに違いない。」
幼き王子がそう思ったのは、胸に抱く傷ついた鳥の事であろうか。
それとも、傷つき追放された優しい母の事であったろうか。

大地の城へと向かう間、誰も言葉を発っしなかった。
ただ、優しい風だけが吹き抜けていったのだった・・・。


 やがて四人は大地の城に着くと、王の広間に通され、大地の王が現れるのを待ったのだった。
そしてその間ロードスは、傷を負った鳥を王子から受け取ると、痛めた羽を治療する傍ら、
他の誰にも気づかれぬよう、そっとその鳥に話しかけたのだった。

「どうかご心配なされませぬよう・・。わたくしが必ずや、空の領土へお連れいたしますゆえ。
今しばらくは、この大地の城で傷をお治しくだされ。」静かにテレパシーで話しかけるロードス。
その鳥は不安にずっと震えていたのだったが、ロードスのその言葉に「キューン」と一声鳴くと、
ようやく安心したのか首をうずめ、身体を丸くしたのだった。

 それから王子はその鳥を受け取ると、ロードスから薬草のあげ方を教わり、
その鳥を連れ王子の部屋へと引き上げたのだった。
そして、王子のベッドに鳥をそっと置き薬草を塗った後、その鳥の背を優しくなでていると、
その鳥はやがて眼を閉じて、すやすやと眠ったのだった。

「大丈夫だよ。僕がついているからね。ロードス様は食べ物を絶対あげてはいけないって言うけれど、
なんでだろう?おなかすかないかな?」そう言うと、心配そうに見つめたのだった。
「でも、いろんな事を知っているロードス様の言葉だから、きっと何か理由があるんだよね。
僕が傍にいるから、なにも心配いらないよ。」そう言いながら鳥の身体に顔を近づけると、
鳥の小さな寝息と温もりに安心したのか、王子もいつの間にか、夢の中へと入っていったのであった。


 一方、こちらは王の広間・・・。
沈んだ表情で身体を重たそうに引きずりながら、大地の王が広間に現れると
「聖なる騎士団」の三賢者は、うやうやしく礼をして跪いた。

 そして、長老ゼンスが静かにこう切り出したのだった。
「豊穣なる大地を収めし偉大なる王よ。ご尊顔を賜り恐悦至極に存じまする。」
そして、一呼吸置くと、「さて、先程東の森で王子にお会いしました。
そして、大地の領土で起こったこの2、3日の出来事を、この大地の森の精霊より見聞きをいたしました。
王妃におかれましては悲しき出来事、何とも言葉になりませぬ。」  
こう言うとゼンスは少し顔をゆがませて、一旦言葉を飲み込んだのだった。

 しかし、顔をあげると王に続けてこう言ったのだった。
「しかるに我らこの3人で、何とも王妃様をお助けいたしたく、こうしてはせ参じた次第でございます。
どうか何卒、今すぐ我らを王妃の元にお遣わしくだされ。大地の王。」
そう言うと、いつもの落ち着いた物言いとは違う、深刻な表情を見せたゼンスなのであった。

 先ほどまでは、ぼんやりと力なく玉座に着いて、意識の遠くで聞いていた大地の王であったのだったが、
「慈愛の賢者」と呼ばれし長老ゼンスの真摯な呼びかけに、王の虚ろな目にはゆっくりと、
希望の光が戻って来たのであった。

 「なんと、そなた達で我が王妃を救ってくれるというのか。」
王が両手に力を入れて、玉座の手すりをつかみながら、身体を前の方に乗り出すと、
ユランが静かに王にこう言ったのだった。
「お待ちください。雄大なる平原を収めし大地の王よ。残念ながら今は、我々が完全に
王妃を救えるとは言えませぬ。しかし、我らの持っている力が少しでも、大地の王妃様のお役に
立つのであらば、何としてもお助けしたい。」

ユランが言い終わるやいなや、ロードスは残りの言葉を奪うように、こう言ったのだった。
「永きにわたりこの大地を収めし寛大なる大地の王。何卒、何卒すぐに我らを王妃様の元に
お遣わしくだされ。」

 ロードスは内心焦っていたのだった。
しかし明らかにいつもの冷静な物言いとは違う、空の領土出身のロードスの言葉を、
この時王は何の疑いもなく、希望を持って聞いたのだった。
 そんな大地の王の心は震え、次第に王の目に涙が溢れてきたのであった。
ゆっくりと玉座を降りる大地の王。   

 少し震える声で三人にこう声をかけた。
「「聖なる騎士団」の三賢者、ゼンス・ショーイン殿、ユラン・アユター殿、そしてロードス・クレオリス殿。
お三方の申し出、何ともありがたい。どうか、どうか我が王妃を救っていただきたい。」
そう言うと王は、すぐ城の衛兵を呼び、三人を王妃のいる「月嘆きの塔」に案内させたのであった。

 そうして、それからすぐに三人を乗せた馬車は、王妃のいる「月嘆きの塔」へと出発したのだった。
 
 その塔に向かう馬車の中で、ずっと三人は押し黙り、それぞれの「聖なる神器」と自身の石に
強く語りかけていた。
未知なる謎の物体。 

 それはたとえ、「聖なる騎士団」の力をもってしても、この問題を解決するには容易なことではない事を、
それぞれが胸に感じていたのであろう。


 王妃が追放されて送られた「月嘆きの塔」とは何か・・・?
それは、ずっと長い間、誰にも使われず、誰にも思い返されることのない、
過去に封印された塔なのであった。

 かつて遠い昔、何代も前に気のふれてしまった王妃を、閉じ込めるのに使われた古い塔。
そこへ幽閉された王妃の夜な夜なすすり泣く声が、夜空に響き渡ったため、
 それからその塔は「月嘆きの塔」と呼ばれるようになったのだった。

 そして、その気のふれた王妃が静かに塔の中で息を引き取ってからは、誰も近づく者はおらず、
今では昼なお暗く、陰鬱な影を落としていたのであった。







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by maarenca | 2014-06-28 15:09 | ファンタジー小説

THE SIX ELEMENTS STORY  No4






THE SIX ELEMENTS STORY




No4





                                          著 水望月 飛翔




「いかがされたのです?ロードス殿。そのような怖いお顔をされては、ユーリス王子が
おこまりではありませぬか。」優美なヒレを漂わせて、間に入ったのは最後の一人、
水の民のユラン・アユター。

「聖なる龍のうろこからなる竪琴」をつま弾きながらユランは、ロードスに声をかけると、
優しくユーリス王子にほほ笑んだのだった。

「雄大なる領土を収めし大地の王のご子息、ユーリス・マレンスタイン王子。
また随分とご立派にご成長されました事、ここにお喜び申し上げまする。」
ユランは美しい旋律を一つ奏でると、のど元に宿るアクアマリンの石の力を使って、
癒しの波動を乗せた言葉を王子に送ったのだった。

そして、長い腕を広げ、陽炎の羽の様な美しいヒレを震わせて、王子に頭を下げたのだった。

そう、彼らこそは「聖なる騎士団の三賢者」と呼ばれし者達なのであった。

彼らはそれぞれ、16歳の成人の儀式のおり、自身の石との一体化に成功したと同時に、
この惑星で唯一「聖なる神器」を出現させた者。
 そして、長い時間をかけ各領土の間に生まれた、人を寄せ付けぬ森「迷いの森」を見事通り抜け、
出会った者達なのでであった。

 その後、この三人は永きにわたる隔絶と差別、無理解、違いを乗り越え、
今再び互いの領土の結びつきを願い、各領土への旅を始めた。
また、それと同時に最大なる壁の「迷いの森」の探求に乗り出したのだった。

しかし、何千年という永い隔絶にいた各領土。
最初の頃は、それぞれの領土の民達から理解を得るまでには、多くの苦労があった事だろう。
壮大な夢を胸に抱いた少年だった彼らは、今は長老と呼ばれる年齢になっていたのだった。
そして、多くの困難を乗り越え、やがては全ての領土の王族、民達から
「聖なる騎士団の三賢者」と言われるまでの尊敬と、信頼を勝ち得た者達なのであった。

 さて、ユーリス王子だが、先ほどユランの癒しの旋律を聞いたためか、
この二日間の緊張から解き放たれると、みるみる少年の顔に戻り、悲しみの涙を流したのだった。

「賢者様。母上が・・・、母上が・・・。」しゃくりあげ言葉が続かぬ王子。
いつも屈託のない明るい笑顔の王子の身に、いったい何があったのか?

何事か今までにない動揺を、王子から受け取った三人は、無言でうなづき合うと、
王子を中心に少し離れて三角形を作り、それぞれその場に立ったのだった。

 王子の右前に立ったゼンス・ショーインが「生命の息吹をもたらす杖」を大きく振りかざし,
勢いよく地面に下ろすと、呪文を唱えてその地の精霊を呼び出した。

 そして王子の左前にはユラン・アユターが「聖なる龍のうろこからなる竪琴」をつま弾きながら、
夢へのいざないの旋律を奏でたのだった。

 そして王子の後ろに立ったロードス・クレオリスは「天上の光を宿す鏡」を
天上に向けると、天からの光を集めて、その光を王子の背中に送ったのだった。

 ユランの旋律に夢見心地になった王子は、静かに夢の中に沈んでいくと、
先ほどゼンスに呼び出された大地の精霊が、王子の身体を受け止めて、ゆっくり
とその場に寝かせたのだった。

 そしてゼンスの言葉にうなづきながら、精霊は一旦王子の額の奥にすっと消えると、
過去の記憶を手に持ちながら再び現れ、今度はロードスの鏡の中へと消えていった。
 すると、鏡の中から光が射し、三人の中央で次第に、ある光景が映し出されてきたのだった。

それは二日前、大地の王と王子が西の端の村々へ向かった日へと遡る・・・。

 王妃はその日、王子の好物の木の実と、ある薬草を摘もうと一人、この東の森へとやってきたのだった。
王妃の森への感謝を讃える美しい歌声に、まだ春早い冷たい日差しが一気に華やぐと、
その辺り一帯の生命ある者たちが、うっとりと王妃の美しい歌声に耳を傾け、
それぞれに明るくなった日差しを楽しんでいたのだった。
 

 しかし、その時。

 急に空の領土との境にある、「迷いの森」の方角から、「ドンッ。」と大きな衝撃が遠くに聞こえたのだった。
それからしばらくすると、得体のしれない黒い物体が、低い地鳴りと共に地を這いながら、
ものすごいスピードで王妃めがけて迫り来たのであった。

 「きゃあ~。」得も言われぬ恐怖をまといながら、動きが取れぬ程のスピードで、
猛然と迫りくる黒い物体。
王妃は恐怖を覚え悲鳴を上げたのだったが、なんとその黒い物体は、王妃の口をめがけて
突進してきたのだった。
 
 そして、王妃の口から侵入すると、一気に王妃の体内に広がっていったのだった。
するとその謎の物体は、すぐさま王妃の身体の感覚をすべて奪うと、ただ重苦しく冷たい恐怖で、
王妃の身体を支配していったのだった。
 王妃は、今までに味わった事の無い恐怖に慄きつつも、この黒い物体が何なのか、
自身の石に尋ねようと、そっと王妃のトパーズが宿る左手に右手を伸ばそうとした。

 その時、王妃の体内を支配していた物体が、今度は素早く王妃の思考にまで侵入すると、
すぐに王妃の意識を奪ってしまったのであった。
そうして、王妃は意識を失い、気絶した。

 すると謎の物体は、意識の無い王妃の身体を宙に浮かせると、そのまま大地の王の城まで
運んだのだった。

 そして、王の広間に着くと、謎の物体は王妃の身体からはい出そうとしたのだった。

 先ほどまで意識を失っていた王妃が目を覚ますと、王の広間にいる自分に驚いたのだった。
しかし王妃は瞬時に何かを理解したのか、この謎の物体を、自ら自身の体内に戻そうと、封印の呪文を唱えた。
 そして王妃は、王妃の身体の中に封印すると、誰も近づいてこれない様に、
自身の周りに火を放ったのであった。

 すぐさま炎は大きくなり、轟々と叫びくるう炎となって、王妃の身体にも容赦なく迫ってきたのだった。
しかし王妃は、自身に襲い来る熱い炎をよけようともせず、燃えさかる炎の中にいながらも、
ただ一心に封印の呪文を唱え続けたのだった。

 それからどれほどの呪文を唱え続けたのだろう・・・。

もし一瞬でも気を許したら、忽ち全てを支配されてしまったであろう・・・。
王妃はこれ以上、誰かが犠牲にならぬよう、そしてこの領土を守ろうと、ただ必死で
謎の物体と一人、闘っていたのであった。

 そして、意識も気力も尽きかけた頃、ようやくそこへ、大地の王と王子が城へ戻って来たのだった・・・。

 熱い炎の向こうで、王妃に呼び掛ける大地の王。
しかし、その声に王妃の返答はなく、呪文を唱える為に、必死で最後の気力を振り絞る王妃の姿・・・。 
 最後に王妃は、王に何か話しかけようとした。
しかしここで、白い靄が現れて事の次第に見入っていた三人の前から、王妃の姿をゆっくりと
消していったのだった。

 そして、次に鏡に映ったのは、静寂の月夜に照らされながら、質素な馬車に乗せられて
「月嘆きの塔」に向かう王妃のさびしい姿なのであった。
 王妃はこの時も、謎の物体を外に出さないように、必死で呪文を繰り返していたのだった。
しかし、王妃の体内に封印された謎の物体が、封じ込められてからずっと、王妃の体内を
炎で焼き尽くしていた事など、誰も知る由もなかったのだった。

 王妃は馬車に乗せられ、懐かしい大地の城を後にしながら、心の中では必死に王子と王に
語り掛けていたのであった・・・。

「王子・・・、愛しいユーリス王子、もう私の言葉をあなたに届ける力は、私には残っていないようです。
ユーリス。
だけど、これだけは忘れないで。心の底からあなたの幸せを私はただ願っています・・・。
大地の王よ・・、あなた。もう私はあなたと話すことも、きっと出来ないでしょう。
あなたと共に生きたことを私は決して忘れません。どうか・・、いつまでもお元気で。
ユーリス・・。あなた・・・。」

 そうしてしばらくすると、映し出されていた場面が、すうっと消えたのであった。





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by maarenca | 2014-06-25 13:43 | ファンタジー小説

THE SIX ELEMENTS STORY  No3

        






THE SIX ELEMENTS STORY
   
 


No3
                                                    
                                                 
                                              

   
                                             著 水望月 飛翔



 その晩王子は夜の間中、広間での光景を思い出しては眠れずに、何度も寝返りを打っていたのだった。
「母上・・・。一体母上に何があったんだ。」
そして王子は、夜がまだ明けきらぬうちにそっと部屋を抜け出すと、広間の方へ行ったのだった。

 王の広間からは、木の柱が焦げたにおいがツンと王子の鼻をさした。
「もしかしたら昨日の事は夢だったのかも?」という、王子の淡い期待は一瞬で打ち砕かれたのだった。
 恐る恐る広間を覗くユーリス王子。
「ユーリス王子。広間にいてはなりませぬ。」そう背後から王子に語りかける声。
驚いて王子が後ろを振り向くと、一番古老の学者がそこにいたのだった。

「先生、なぜ僕が広間にいてはいけないのですか?母上は?母上の要体は?」
王子の問いに学者は眉間にしわを寄せると、ため息を吐きながら、ゆっくりと首を横に振ったのだった。
「ユーリス王子よ。どうか心してお聞き下され。王妃様の意識はまだ戻られてはおりませぬ。 
昨日からずっと、王の魔法の蔓で王妃様の回復を図っておられますが・・・、この傷を治すには難しいかと。」  

「母上と父上は?お部屋にいるのですか?だったら僕も行きます。」
そう言って王と王妃の部屋に行こうとしたのだったが、すぐに従者が呼ばれ、
王子の行く手は、またしても阻まれたのだった。
「ユーリス王子よ。今はなりませぬ。昨日の王妃はいつもの王妃ではありませんでした。
王妃様の行動にはきっとなにか原因があるはず。まずその解明をしなければ、
大事なる王の跡継ぎであります王子の身を、王妃様に近づける事は出来ないのです。
どうか分ってくだされ。」学者はそう言うと、もう一度、王子の部屋に連れ戻すよう、
従者に命令したのだった。

「先生。」
王子は悲しそうな目で学者を見たのだったが、抵抗をあきらめ、そのまま王子の部屋に向かった。
そして王子は部屋に戻ると、自分が母の元に近寄ることすらできない自身の幼さを、悔しく思ったのだった。

 しかし、その日一日部屋から一歩も外へ出る事を禁じられた王子は、部屋を出る機会を狙っていた。
次の日の夜明け前。王子の部屋の前で見張っている従者の交代の隙間をついて、
王子はこっそりと部屋から出たのだった。
 冷たい冷気が漂う廊下を、気配を殺して歩いて行くと、城の者が話す小さな声が、
王子の耳に届いたのだった。
 それは、夜中のうちに王妃をこの城から「月嘆きの塔」に幽閉した事を、話していたのだった。

ユーリス王子の鼓動が一つ痛みと共に鳴った。
「母上?!」王子は後ずさりすると、そっと人目につかぬよう城を飛び出し、そのまま森へと走ったのだった。

 城の者が言っていた「月嘆きの塔」とは?
王子は初めて聞くその言葉に、よくは分らないが何か冷たいものを感じ、何もできない自分と、
母への想いを募らせたのだった。
 方角も分らず森をさまよう王子。
当てもなく、王妃を探して森を走りまわったのだったが、まだ少年の王子が、自身の足で聞いた事もない
「月嘆きの塔」を見つける事は、到底出来ないのであった。

 どれだけの時間が過ぎただろうか。
やがて疲れた王子は足を止めると、力なくその場に泣きくずれたのだった。

そうして泣きつかれ、知らぬ間に深い眠りに落ちていった王子。

「・・リス。ユーリス王子。どうか泣かないで。私はずっとあなたの傍にいますから。」
白い靄が立ち込める中、そっと王子の頭をなでる優しい手。

「母上・・・?」
王子は聞きなれたような、初めて聞くような不思議な感覚で王子に語りかける声を聞いたのだった。

「いや、母上ではない。一体あなたは誰?」
王子が不思議そうにその声の主に聞くと、王子をなでる手がすっと遠のき、少し離れた所に、
見た事もない金色の長い髪をした少女の後ろ姿を見たのだった。


「君は、誰・・・?」
王子がもう一度聞くと、顔は見えないが少しこちらに振り向いた様な気配を見せると、
すぐにその少女の姿は白い靄の中に消えていったのだった。
「待って。」
少女に向かって叫ぶ王子。王子は自身の声に驚き、目をさましたのだった。

 夢と現実の境界線が分らず、ぼんやりした頭で王子は、今自分がどこにいるのか、考えたのだった。
高い木々の枝からまぶしい木漏れ日を受けると、少しずつ、儚い夢から悲しい現実へと、
引き戻されたのだった。

 力なく笑いながら、ゆっくりと立ち上がろうとした王子。
その目の先に、ふとこの大地の領土では見た事もない鳥が一羽、うずくまっていた。
よく見るとその鳥は、片羽を痛めたのか動けないようでじっと身をすくめていたのだった。
 その鳥は、ちょうど鳩位の大きさで、滑らかで光沢のある美しい乳白色の羽と、濃いブルーの瞳を持ち、
胸元にはまるで美しいネックレスでもしているかの様な、色取りどりの羽が立ち並んでいた。

 そして、桜貝の様な愛らしい嘴が小さく震えるたびに、「キューン。キューン。」と、
心細そうな鳴き声がこぼれてくるのであった。

 王子はゆっくりと近づき、静かにその鳥を両手に抱えると、そっとその鳥に聞いたのだった。
「お前はどこから来たの?・・怪我をしたのかい?・・お前の仲間は?」
優しく話しかけるユーリス王子。
しかし、ただその鳥は心細そうに「キューン・・・キューン・・。」と、小さく鳴くだけなのであった。

 王子はこの時、この傷ついた鳥を王妃の姿と重ね合わせ、この鳥を助けたいと思うのだった。
苦しむ母を助けられなかった無念を、まるで埋め合わせようとするかの様に。
「もう大丈夫。僕が君の傷を直してあげるね。」そう言うと、優しく鳥の頭をなでたのだった。

 その時、穏やかな風が暖かな空気を連れて、王子の周りを吹き抜けていった。


 風が過ぎ去ったあとの方角を何気なく見つめていると、王子は何やら草が動く気配を感じた。
「こんな森の中で何だろう?動物達の気配ではないようだけど。」しばらくじっとして目を凝らしていると、
王子の目の前に大きな杖を持った、3mはあろう大男が姿を現したのだった。

「ゼンス様。」王子は、その男を見るなり懐かしそうに駆け寄った。

「おお、これはこれは。広大なる大地を収めし王のご子息、ユーリス・マレンスタイン王子。
我らは今しがた、大地の領土にようやく足を踏み入れたばかりと思いましたが、
まさかこのような時間にこのような森でお会いするとは。」
 大男はそう言うと、身体をギシギシ言わせながら、王子に頭を下げたのだった。

 それから顔をあげ彼の持つ「生命の息吹をもたらす杖」を大きく回し周りを見回すと、
不思議そうに王子に聞いたのだった。
「して、ユーリス王子。まさかこの様な時間に、森にお一人でおられるとは思いませぬが、
お付きの者はいかがなさいましたかな?」
 
 樹木の枝の様な三本の腕を持つ緑の民のゼンス・ショーインは、先ほどよりもっと身体をかがめて、
王子の顔を覗き込むように、優しく王子に問いかけたのだった。
 それと同時に、ゼンスの背中にいる小さな住人達が、何やら落ち着かぬようにざわめいているのを、
ゼンスの額に宿るエメラルドは感じとっていたのだった。

 ゼンスの問いかけに、何から話していいのか想いを巡らせる王子。
すると、今度はゼンスの背後から、落ち着いたブルーグレーの色合いの翼を持った人物が、
王子に声をかけたのだった。
「お久しゅうございます。安寧なる大地を司りし大地の王のご子息、ユーリス・マレンスタイン王子。
ご健勝の事、喜ばしく・・・。」ロードスは、あいさつの口上の途中で王子に抱かれた鳥に気付くと、
言葉を失い自身の目を疑ったのだった。
 ロードスの右目のサファイアが鋭く光った。

 ロードスはそっと、誰にも気づかれぬように注意深く、胸に抱いた「天上の光を宿す鏡」に
その鳥の姿を映し出した。
 そして、鏡に映し出された姿に息を呑んだのだった。
「王子。この鳥は一体・・。この鳥をどこで見つけたれたのですか?」
 いつもは3人の中で常に寡黙で、「崇高なる賢者」と呼ばれし、空の民のロードス・クレオリスであったが、
いつになく翼を広げ肩を震わせると、こわばった表情で王子に近寄ったのだった。
 ユーリス王子は、いつにないロードスの気迫に驚き、後ずさりした。

(つづく)






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by maarenca | 2014-06-21 10:20 | ファンタジー小説

6月28日29日ファミリーセール開催




6月28日29日の2日間。自宅でファミリーセールをいたします。
マーレンカレディスウエアのセールとTUNAGU&TUMUGUトートバッグのお披露目です。

私は二日間ともおりますので、
まるこ安子としてお話がある方も、ぜひいらして下さい。

お待ちしております。                                            

丸子安子




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by maarenca | 2014-06-20 13:45

まるこ安子 来年の目黒区議選を目指します。



この2,3週間ずっと考えていました。
ある方面から、来年の目黒区議選への強い依頼がありました。

3.11以降、自分の意識の変化により衆議院選挙の出馬、昨年の参議院選で東京選挙区に出馬をし、
落選した私にこれから何が出来るのだろうか?と。

選挙、政治はもうこりごり。
私本来の姿に立ち返り、少しでも社会の役に立ちたい。 参議院選後は、そう思ってまいりました。

そして選挙で立ち遅れていたプロジェクト 福祉施設・被災地・途上国と消費者をつなぐファッションプロジェクト「TUNAGU&TUMUGU」を本格的にスタート。

今年に入り、私と有志の方で「2020年東京オリンピックに途上国の子供たちを招待する」プロジェクトを始動させました。
これは、決まってしまったオリンピックに対し、少しでも取り残される人をなくしたい!中身を入れたい!と思っての行動です。



東京オリンピックについては賛否両論あると思います。
いま行われているサッカーのワールドカップブラジル大会でも、現地での社会不安や抗議も、無視できない問題です。

ただ、こうした状況を見て、私は釈然としない思いがわきました。

選手やスポーツに罪があるのか?と。
一部の人はサッカーもスポーツもいらない。という言葉を発します。それよりも社会の構造改革だと。

私はこうした言葉に傷つきました。

国の政策ややり方がどうあれ、人一倍努力をして、多くの人に夢を与えているトップ選手たちを責める事に正当性があるのかと。

ではこれが大きな音楽祭だったら?芸術だったら?

また非難をするのでしょうか。

私は嫌です。

努力をしている人を非難する考えは違うと思います。

誰かを非難すれば非難が生まれるだけ。  他者に敬意を持てない社会に敬意は生まれない。

多くの人に夢や希望を与えられる事は皆が出来る事ではない。 
夢や希望が無くなったら、子どもたちに何を目標に人生を素晴らしいものにするのか、教えられることができるでしょうか。

運営方法を、中身を変える事にエネルギーを使いたい。私はそう思いました。

目黒区議とオリンピック。 規模も立ち位置も関係ないように見えます。

そして、現内閣になり、急激に戦争に近付く日本。

武器輸出に原発再稼働。集団的自衛権の解釈変更や憲法改正の方向に舵が取られ、TPPによる影響も、スーパーに行くと以前より明らかにアメリカ産肉の割合が多くなてっている現実が見られます。


そんな中、一市民の私に何ができるだろう?

何度もその言葉を繰り返して終わるだけの自分でいいのか?

何ができるだろう?を繰り返していても何も変わらない。それはただ単に躊躇している姿だから。

だからこそ、少しでも自分の住んでいる地域から具体的に結果を出していきたい!そう、思うようになりました。

省エネだって、再エネだって、遅れている目黒だからこそ、もっともっと進められる事がある。

教育だって、放課後の時間を使って地域の教室や人材、大学生と組み、子どもたちに多くの事を体験してもらいたい。

子育ての悩みも介護も、個人や各家庭の問題ではなく社会で支え合う仕組みを皆で考えていきたい。

若い世代と商店街などがタッグを組んだ地域イベントで皆が顔見知りになる地域にしたい。


目黒区から出来る事。

そのひとつひとつを実現することが、いつか地域の力になる!そう、思いました。

国政・地方議会。大小の違いに目を向けるのではなく、実現できることから実現したい。


その想いで、わたくしまるこ安子は、目指す事を決めました。

長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。


どうか皆さま、一緒に作り上げる力になっていただけないでしょうか。

一人でも、そうした仲間が増えると心強いです。

ご連絡いただける方は、下記までご連絡ください。

info@maarenca.com

まるこ安子  決意表明





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by maarenca | 2014-06-19 11:24

THE SIX ELEMENTS STORY No1 No2

   

                    
私が書いているファンタジー小説の応援をずっとして下さっている方には、出版はいつなのか?
気になっていらっしゃるかと思います。
いつも、本当に応援ありがとうございます。

今までも何度か紆余曲折が ありました。

まだ、出版は決まっていませんが、先に皆様と私の小説世界を共有したいただきたいと思い、
先週の土曜日から、フェイスブックでアップしておりました。

これから毎週、水曜日と土曜日に配信したいと思います。
フェイスブックでは今日はすでに2回目ですので、このブログにはNo1とNo2を載せたいと思います。

素晴らしい惑星の住人たちの意志を、どうぞ受けとって下さい。                            


丸子安子   (作家名 水望月 飛翔  みなづき ひしょう)


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THE SIX ELEMENTS STORY




No1




                                    著 水望月 飛翔




第1章
              1 SACRIFICE



 この大地が何処なのか・・・
その時代を何と呼べばいいのだろうか・・・。
知らぬ処。知らぬ星。
名もなき星のその場所に、「五つの民」と呼ばれし者達が暮らしていた。
そうして彼らは、おのれ達とは違う他の民達との交流を完全に絶ち、それぞれ永い時を過ごしてい
たのだった。

何千年という気の遠くなるような長い断絶の時を経て、民達はやがて、それぞれ異形の姿へと
変わっていったのだった。

空・水・緑・大地・炎の五つの属性に分かれた民。

 翼を持つ空の領土の民は、高き断崖の壁で自身の領土を守り、その中に広がる広大な空間に、
6つの島をテレパシーで浮かべ、暮らしていたのだった。
高き意志、高き理想。彼らの祈りは天へ天へと突き抜ける。
そんな孤高の空の民はいつしか「碧き空を翔ける民」と呼ばれるようになった。

 水陸どちらでも呼吸ができる肺とエラを持つ水の民は、青緑のまだらで滑らかな皮膚を持ち、
長い手足には優美なヒレを漂わせ、6つの色の湖を領土として暮らしていたのだった。
 清涼なる意思で天と地のすべての水を司る。
そんな清廉な水の民はいつしか「清き水と戯れる民」と呼ばれるようになった。

 太古からなる植物が生きる深緑なる森に住む緑の民は、身体の法則を持たぬ自由な民。
彼らは自身の魂の他にもう一つ、身体を持たぬ未熟な魂を自身の身体に住まわせ、
多くの経験を共に分かち、暮らしていたのだった。
そんな自由な緑の民はいつしか「深緑と共に生きる民」と呼ばれるようになった。

 広大なる草原に暮らす大地の民は、常に天と大地に祈りを捧げ、自然の声に耳を傾け、
自然からの恩恵に感謝し、自然の猛威に畏怖を持って暮らしていたのだった。
生まれた時から祈りの文様を身体に刻印し、地に足を付け暮らす民。
そんな誠実な大地の民はいつしか「雄大なる大地をいだきし民」と呼ばれるようになった。

 熱いマグマが休むことなく、地下で活動を続ける領土に住む炎の民は、「城の囚われ人」と
なっている王の身を案じる熱き血潮の民。鳥の羽と鈴を身につけ、身体を震わせては、
感謝の気持ちを王に届けと踊る民。
そんな情熱の炎の民はいつしか「熱き炎を友とする民」と呼ばれるようになっていったのだった。

 そして、そんな彼らの他にもう一つ。
身体を持たず、自己と他者との違いを持たぬ民。
それが、「風と共に謳いし民」と呼ばれる風の民であった。
しかし彼らには謎が多く、彼らの事を深く理解する者はいないに等しいのであった。

 永い永い隔絶ののち、それから始まる彼らの物語。
これは、そんな彼らが住む惑星の物語なのである。

 ここは朝早い霧が立ちこめた大地の領土の中の森。
一人、まだ植物たちが眠りから覚めやらぬ森に佇む少年あり。
年の頃はまだ7,8歳の少年だろうか、その幼い身体を、朝の冷たい冷気を含む草むらに投げ出して、
身体を震わせ泣いていたのだった。

「母上、、、。なぜ?なぜ、母上がこの大地の城から追い出されなければいけないんだ。」 
自分の幼い胸に言葉を投げるように叫ぶ少年。
「どうして?僕だけ何も教えてもらえないんだ。」
そうして少年は身体を起こすと、悔しそうに湿った大地に、固く握ったこぶしを何度も振り下ろしては、 
泣きくずれたのだった。

ここは人知れぬ森の中。
ただこだまするは、少年のむせび泣く声のみ。
彼の名はユーリス・マレンスタイン。
この大地の領土の王子である。

 彼の屈託のない笑顔は、この森に息づく全ての生き物たちを魅了する、そんな明るいユーリス王子
なのであった。しかしこの日の朝は、いつもじゃれ合っていた森の木々も動物たちさえも、
近づけぬ程の深い悲しみに一人、身を置いていたのだった。
そう、彼の幼い肩に少しずつ、柔らかな陽の光がほほ笑んでいるのも知らず、
鳥たちの朝の歌声もなぐさめも、彼の耳には届かなかったのだった。
ユーリス王子は、突然王子の元からいなくなった、優しい王妃の温もりを必死に思いだそうと
していたのだった。

 あれは、二日前の肌寒い日の事、、、。
この日、王子は父である大地の王と共に、大地の領土の西の端にある村々を巡回していたのだった。
 それは広く大地の民たちとの交流の場であり、王子たる大事な務めの儀式でもあったのだった。

 この惑星は不思議な星。
それぞれの領土内の民や自然界一切と、天に瞬く星の生命エネルギーが一体となっているのであった。
そして、領土内のエネルギーのゆがみや不協和音は、そのまま自然界、天界にも表れるもの。
ゆえに王は、常に領内のエネルギーを平穏に保つよう、気を配っていたのであった。王自身、
領内のエネルギーと一体化しているため、心身ともに美しく保たねば自身の領内を収める事は出来ない。
また、王が崩御する前に正当なる継承者を決めなければ、王の崩御と共にその地は全て、
崩れ去る運命にあった。

全ての命のエネルギーがつながっている惑星。
ゆえに、それぞれの領土の夜空にきらめく星達も例外ではない。
この惑星は我ら地球の大きさの3分の2程の大きさ程。
しかし、周りを囲む星達は、地球から見る星達よりももっと近くに存在し、
いつもオーロラのような色とりどりの輝きと、心静める美しい音を奏でているのだった。
 そんな星達はまるでそれぞれ意思があるかのように、少し近づいてきた周りの星が集まっては、
雪の結晶の様な美しい文様を形づくるのだった。

そしてまた星達は静かに動くと、バラバラになり、また近くにある違う星達と新しい文様を作る。

そうして、毎夜美しい夜空をこの惑星の住人に惜しみなく見せるのだった。
しかし、その星達の美しさも、その地の領土のエネルギーの違いにより、高貴な輝きの夜空から、
少しゆがんだ苦痛の色を見せる夜空まであったのだった。

 だからこそ、それぞれの王族の地位に生まれし者たちは、その領内の秩序と
安定を、常に心がけていたのであった。




No2


 「父上、この度は西の村のみなさんにお会いできて、本当にようございましたね。」
ユーリス王子は、先ほどまで走らせていた馬の速度を緩めると、前を行く父王に声をかけたのだった。
王は王子の言葉に振り向き、手綱を引くと、そのまま速度を落としてユーリス王子の横に並んだのだった。
「そうだな、ユーリス王子。皆もそなたの成長した姿を見る事が出来て、本当に喜んでいたのう。
そなたの皆にかける言葉もしっかりしてきて、わしもほんに嬉しく思う。」
そう言うと、暖かくユーリス王子にほほ笑んだのだった。

「父上。」そんな父王からの言葉に、嬉しく思う王子なのであった。
しかし、少し照れくささもあってか、王子は自身の表情を隠すように、
「さあ、母上にも早く今回のご報告をしなければいけませんね。」と言うと、手綱を一気に引き、
馬を走らせるユーリス王子なのであった。

「王子、急にそのように馬を走らせては危のうございます。どうか、お待ちを。」
慌てて、王子の後を追う従者。
それを見て、王と王に使える従者たちは思わず笑いをもらしたのだった。

 そんな晴れやかな王の一行は、夕暮れの陽を受けながら、城に到着したのだった。
西の村から帰還した王と王子の一行は、身体は疲れてはいたが、くつろいだ表情で城に近づいていくと、
それとは対照的に、第一の執政官が顔をこわばらせながら、王の元に息せき切って近づいてきたのだった。
「大地の王。大変でございます。王妃様が、王妃様が・・・。」
そう言うと、執政官は王を見るなり天を仰ぐと、力なくその場にくずおれたのだった。
「王妃が、いったいどうしたと言うのだ?」
王は急いで馬から降りると、その場に突っ伏した執政官を抱え上げ、問いただそうとしたのだった。
しかし、王の城から今まで感じた事のない不穏な気配を感じとると、王は執政官をその場に残して、
急いで中に入っていったのだった。

王の広間は高い天上の吹き抜けになっている。
頑丈な石造りの壁と、細やかな木の組み細工で何層にも重なった天井が織りなす、重厚な作りになって
いた。
高い天上に張り巡らされた幾重もの梁は、祈りの荘厳さを表していたのだったが、
その姿を覆い隠すように広間には濛々と、黒煙が充満していたのだった。

「王妃様。どうか、どうかお気をたしかに。」
「誰か、王妃様をお止めするのだ。」
王の広間に入り、黒煙のその先に目を凝らした大地の王。
王はその場に立ち尽くし、絶句した。
王の広間は熱い炎で包まれ、城に仕えるもの達は広間の真ん中にいる王妃に近づく事ができず、
慌てふためき、右往左往していた。

「これは一体、なんということだ。」王は目を疑った。
広間の中央を、うつろな目で力なく歩く王妃。
王妃が口の中で呪文を唱えながら、王妃の石の力で炎を作りだしては、広間に火を放っていたのだった。
王は茫然と立ち尽くした。と、そこへ駆け寄る学者達。
「大地の王。どうか王のお力で、王妃をお止めくだされ。このままでは、この城は焼け落ちてしまいまする。」
おろおろする学者達を目にして王は、「そなたたちは一体何をしておるのだ。なぜ、王妃を止めぬのだ。」
と、学者達を一括した。
王の言葉に、一瞬身を縮めた学者達であったが、その中で一番古老の学者が一人前へ出ると、
王にうやうやしく答えた。

「我らが誇り、雄大なる大地の王。恐れながら申し上げまする。残念ながら我らの石の力では、
王妃様の石の力を制御する事はできませぬ。王妃様をお止めできるのは我らが王のみ。
どうか王のお力で、王妃をお止めくだりませ。」そう言うと、いつにも増して、深々と頭を下げたのだった。
 再度の懇願を受けて王は、すぐさま王妃に顔を向けると、呪文を唱え、王の右手に宿りし石を
呼び起こしたのだった。
「我の右手に眠りしトパーズよ。今こそ我の声に応えよ。王妃の左手に宿りし石の力を封じ込めるのだ。」
王が呪文を唱え命じると、王の右手のトパーズから何本もの弦が伸び、王妃の左手に巻きついたのだった。

 王妃は動きを封じられると、のけぞるようにして、左手を振り払おうとしたのだったが、
その時、王妃の脳内に直接王の声が響いたのだった。「王妃よ。どうか落ち着いてくれ。
我が愛しき大地の王妃よ。」
 王妃は意識の遠くで王の声を聞き届けると、少しずつ本来の王妃の意識を取り戻したのだった。

遠く、黒煙の向こうに見える懐かしい王の姿。
「あなた・・・。」王の姿を目にし、固く唇をかむ王妃。
王を懐かしそうに見つめる王妃の目には、みるみる涙があふれ出たのだった。
そうして、王にほほ笑んだかと思った次の瞬間。
王妃はいま一度呪文を唱えると、今度は広間に広がる炎を、王妃自身に向かわせたのだった。
「王妃。」自身が作りだした炎に身を包まれる王妃。
王は叫び、王妃を助けようと傍に向かおうとしたのだった。しかしすぐに周りの従者に取り抑えられ、
王妃の傍に近寄ることができなかったのだった。
王妃はその光景を目にすると、意を決したように王に別れを告げたのだった。
「あなた・・・。ごめんなさい。」しかし、そんな王妃の最後の言葉は、王に届く事はなかったのだった。

 そして、言い終わるや否や王妃は、苦痛と呼吸困難で意識を失うと、その場に力なく倒れたのだった。
王妃が意識を失うと、王妃の魔法から生まれた炎も次第に小さくなり、やがては消えていったのだった。
 王は従者の手を振りほどくと、急いで王妃の元に駆け寄った。

色とりどりに染められた美しかった王妃の衣服は、もはやその面影はなく、ぼろのようになって、
細い黒煙をいくつも上げていた。
しかし、なによりも優しい笑顔をたたえていた王妃の顔は、見るも無残に焼けただれ、
その面影を大きく変容させていたのだった。
「王妃よ。」王は、ゆっくりと王妃の身を抱きかかえると、自身の右手の石に命令し、癒しの目を芽吹かせ、
王妃の身体を包ませたのだった。
 そうして王の右手から伸びた蔓は、幾重にも重なって、次第に眉のように王と王妃を包み込んだのだった。
「母上?」今まで広間の外で、従者に行く手を阻まれていていたユーリス王子は、
ようやく広間に入ると、焼けただれた王妃をいだく王の姿を見たのだった。

「母上。」「ユーリス王子。近づいてはなりませぬ。どうか、ご辛抱を。」
王子の身を案じた従者に、また取り抑えられたユーリス王子は、王と王妃をじっと見つめたのだった。

「はなして。母上の傍に僕も行く。」
従者の手の内でもがく王子。
そんな王子に王は顔を向けると、「ユーリスよ。今は母に近づいてはならぬ。そなたは我が大地の領土を継ぐ大事な身なれば、しかと自身の役目を思い出すのだ。」険しい表情でそう言うと、従者に命じ、ユーリス王子を王子の部屋に下がらせたのだった。
「母上。」従者に腕を掴まれて広間から出された王子は、何度も振り向きながら王妃を呼んだのだった。


つづく


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by maarenca | 2014-06-18 13:13 | ファンタジー小説

日本リザルツ「ホテル・ルワンダ」上映会にて



6月16日。衆議院第一議員会館にて急きょ日本リザルツ主催で、映画「ホテル・ルワンダ」上映会が催されました。

㈲マーレンカは、20年前のルワンダ大量虐殺で親御さんを失った、ストリートチルドレンの支援に、
ささやかではありますが、続けてまいりました。

それは、現在の活動「TUNAGUTUMUGU」プロジェクト商品にも活かされ、ルワンダの水牛チャームを
必ず商品に使う事により、仕事としての継続を支援しております。

ルワンダの大量虐殺は、もとはと言えばベルギーという国が作った差別によるもの。
顔形や身体の違いで、ツチ族とフツ族に分け、長年ツチ族優遇を図った結果、部族間の対立を生んだ事。

それは結果的に、100万人(「ホテル・ルワンダ」からの数字)のツチ族(かくまったフツ族も含む)の
大量虐殺という悲劇を生んでしまいました。


紛争・虐殺・戦争

呼び方はどうあれ、同じ人同士で殺し合う。
人として、低レベルの観念ではないでしょうか。

私たちはいつ、こうした低レベルの思考から抜け出すのでしょう


それが近い将来であってほしい。

その願いも込めて、今日も新しい作品を創っていきたいと思います。


丸子安子
http://maarenca.net/#!/




プリンセス・オブ・アフリカ財団代表のイボンヌ・チャカチャカさんとルワンダのベネディクト一等参事官とスリーショット。

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by maarenca | 2014-06-17 11:25