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THE SIX ELEMENTS STORY No42








THE SIX ELEMENTS STORY



No42



                                    著 水望月 飛翔
 

そうして、この新たなる空の領土を守りし者たちが、カサレス王子の元に集ったのだった。
彼らは総勢10名ほど、この中から本当に王子の元につけるのは、半分にも満たないであろう。
しかし、様々な試験を受け、それぞれ他の者よりも秀でたる力を現した者達であり、その中でも
ランダス執政官の娘のミラディア・カランダムは一番最年少の12歳にも関わらず、この空の領土の
執政に対する試験の一番の優秀さを持って、この一団に加わったのだった。

 そして、一番の武勇を誇りし者。それは19歳のフリュース・リュード。
彼はすでに成人の儀式を無事にすませた者で、左肩にサファイアを宿し、その石の力は、
「何ものをも越えし者」であり、彼は相当なる槍の使い手でもあったのだった。

 第三の島に住む彼は、いつも眩しそうに王のいる第五の島を眺めては、いつか自分も、
第五の島に行くあの橋を渡っていくんだと、心に思っていたのであった。

 彼もまた以前、カサレス王子の誕生日の謁見式に招かれ、自分よりも年下のカサレス王子が
王族として、もうすでに立派な振る舞いを見せている事に、驚きを持って見ていたのであった。

(カサレス王子。なんて美しく、立派な佇まいをしているんだろう。いつか王子の一番傍に立ち、
私が王子をお守りする事できたら。)
と、フリュース・リュードは自身の心に、カサレス王子が常に一番に自分の事を頼りとしている姿を、
また自分が一番近くで王子をお守りしている姿を、何度も思い描いていったのだった。

 それゆえこの度の、カサレス王子の近衛団となる、王からの呼びかけを、人一倍心から喜んだ、
フリュースなのであった。

 そしてこの惑星の運航に関する試験を一番の成績で突破したのは、15歳のストー・リマックであった。
彼は来年、成人の儀式を控えており、もう自身の石の力を心に決めた者なのであった。
彼は、随分古くからの星の流れに興味を持っており、この惑星の創世の謎を突き止めたいと、
幼きころより心に思っていた者なのであった。

(何故、この惑星に住む我々人類は、この様にそれぞれの領土で姿形を変えて、分断しながら生きて
いるのだろう?星達はこんなにも僕達に話しかけているというのに、僕にはほんの少ししか、
彼らの言葉を理解できていない。

もしもっと、理解する事ができれば、僕ら人類の未来はもっと違う形になるのではないだろうか?)
 常にそんな事を考えていたストー・リマックは、彼の住む第四の島よりももっと上に住み、毎晩星達の
囁きを聞いて、星の解明をしたいと思っていたのであった。それゆえ彼もまた、今回の呼びかけを喜び、
この試験で自身の知識を最大に発揮したのであった。

 そんな彼らを軸にここに集いし者達が、これからカサレス王子と共に空の領土を守る為、一緒に
勉学の時を同じくしていくのであった。

 ランダス執政官は、我が娘のミラディアが抜きんでた知識で、カサレス王子の近衛となる若き一団に
入ったことを、心から誇りに思ったのだった。

「ミラディアよ。そなたはまだ14歳という若き年にして、よくこの試験を一番で突破したのう。
私は本当にうれしいよ。」と言うと、ミラディアの肩に手を置いて、娘の顔に笑顔を送ったのだった。

 ミラディアも、そんな父のよろこぶ姿がうれしく、「ありがとう、お父様。私、お父様がずっと私の事を誇りに
思えるよう、頑張るわ。」と、純白の心をそのままに、父に笑顔を向けたのだった。

 さて、そんな面々とカサレス王子との初めての対面の日がやってきたのだった。王の広間に集められた
彼らは、それぞれ緊張した面持ちで、王一家の到着を待っていたのだった。

 そして王一家の到着のその前に、まずはランダス執政官より、王家に対する礼儀の説明を受けると、
彼らの緊張は頂点まで高まっていったのだった。

 王の広間の頭上には、高く伸びやかな流線の飾りが、天上まで届けと言わんばかりの崇高さと威厳を表し、
この若き者たちの鼓動など素知らぬように、静けさと均衡を降り注いでいたのであった。

こうして、静かな緊張感が支配する王の広間に、今までより一層の静けさが姿を現すと、それまでにはない
圧倒的な均衡を纏って空の王のタリオス王が、その姿を皆の前に見せたのだった。

その空気の重厚さに一同は、それぞれ、さらに身を引き締めて身動ぎもせず立っていたのだった。
それからまもなく、タリオス王に続いて、空の王妃が光のきらめきを身に纏い、その身を揺らすことなく、
悠然と音もなく進んできたのだった。

 威厳ある王と、優美な王妃の姿を見つめる一同の中、そしてようやくカサレス王子が、王の広間に
入ってきた。

王子の姿は、まるで天空の使者を従えているような、悠然とした神々しさを携えており、その場にいる
若き一団はそんな王子の姿に目を見張ると、自然とその場に跪いたのだった。

 そんな彼らの自然な現象に、王子の持つたおやかな美しさをタリオス王も大いに感じ、カサレス王子と
若き彼らのこれからを、楽しみに思ったのだった。

 そうして一同を一通り見渡すと、この沈黙の空気をまず空の王、タリオス王が突き破ったのだった。

「これからを担いし若き者達よ。いずれもそれぞれ他の者にはない輝きたる力を持って、よう我が息子
カサレス王子の元に集いしたもうた。これより先は、次を担いしカサレス王子の良き補佐として、
また良き友として、その身をこの空の領土の為に尽くしてもらいたい。」そう、この若き一団に
声をかけたのだった。

彼らはいずれも、この空の王から直接言葉を掛けられたことなどは初めてであり、その堂々とした王の
物言いに、深く一礼をして聞いたのだった。

 それから王妃が、そんな彼らの緊張をほぐす様に、優しい調べで声をかけたのだった。
「今日集まりし、若き皆様。ほんによう、カサレス王子の元に集まって下さいました。皆様が王子と共に
この空の領土をまた、新たに美しくしていく事を切に願います。」と王妃は聖なる調べを皆に届けたのだった。

 王家の前に集まった若き一同は、その清涼なる中にも温かな王妃の声に聞き入り、次に静かに王子の
言葉を待ったのだった。

 皆の熱い視線を一心に受けて、カサレス王子はゆっくりと自身の椅子から立ち上がると、一同を見渡し
、静かに口を開いたのだった。

「今日集まってくださった皆様。はじめてお会いする方も、そうでない方もいらっしゃいますね。
わたくしはカサレス・クレドール。どうかこの私と共に、空の領土の未来を良きものとする様、皆様のお力を
お貸しください。」と一同に言うと、一同の緊張をほぐす様に、柔らかくほほ笑んだのだった。

それから、ゆっくりと皆の顔を一人ずつ見つめると、そこに小さく身を震わせている、ミラディアの姿を
見つけたのだった。
すると王子はミラディアの緊張をほぐそうと、一層の優しい微笑みを持って、こう声をかけたのだった。
「やあ、ミラディア。君はこの中で最年少ながら、一番の執政の知識の持ち主のようですね。
どうか君の純白なる心で、この領土の未来を見守ってほしい。」と声をかけたのだった。

 ミラディアは皆の前で、自身の名前とその由来を王子に呼ばれた事がうれしく、小さな声で、
「はい、カサレス王子。」とようやく答えたのだった。
その答えに、一層優しくほほ笑むと、王子は次に目に留まったフリュースにも声をかけたのだった。
「その姿は槍の達人、フリュース・リュード殿。貴殿の美しき槍の流れをどうか、このわたくしにも
お教えください。そしてこの空の領土の安定に一層のお力添えを。」と声をかけたのだった。

 フリュースは、遠くから王子を見ているしかなかった自分の存在を、こうして皆の面前で、
カサレス王子に認めてもらったことがうれしく、「カサレス王子、何なりとわたくしにお申し付けください。
わたくしは、自身の力をこの空の領土の為に一切を使いたいのです。」と、大きな声で言ったのだった。

 そして、まだ年若いのにすでに賢人のような佇まいのストー・リマックに目を置くと、カサレス王子は
「未知なる星の声を聞きし者、ストー・リマック殿。どうか星たちの声をわたくしにも聞かせてください。
この空の領土を築きし創世の王からの声を、思いを、私は知りたいのです。」そうストーに声をかけると、
ストーは顔を上げ、カサレス王子の顔をじっと見つめたのだった。

そして、「何と恐れ多いお言葉でしょう。カサレス王子。私ごときには、まだまだ星達の小さなため息しか
解明できておりません。しかし、王子のお傍に着けるのであらば、少しでも早く王子のお役に立てるよう、
努力してまいります。」というと、深々と頭を下げたのだった。

 そんなストーの返事に王子はゆっくりと頷くと、それからまた一同を見渡して、「それでは皆様。
以後、どうかよろしく。」と静かに言うとカサレス王子は、ゆっくりと自身の椅子に戻ったのだった。

 こうしたカサレス王子と若き一同の対面を、頼もしく見つめるタリオス王。
最後に、タリオス王自らの「やすらぎの詩」を贈られて一同は、それぞれ誇りを胸に、王家の3人を静かに
見送ったのだった。

 王の広間を後にしたカサレス王子は、一息つくと、広間の外で待っていたアーキレイに急ぎ声を
かけたのだった。

「アーキレイ、今日はローラインが来る日になっていましたが、ローラインはもうこの城に着いているのでか?」
少し落ち着かない様子でアーキレイに聞いてきたカサレス王子。
カサレス王子は、先ほどの対面で会った彼らの事など気にかける様子はなく、ただローラインの事だけが
気になって仕方がないという風に、アーキレイには感じられたのだった。

(彼らはどんなに、カサレス王子との対面を待ち望んでいたことだろう?カサレス王子、しかし、
あなたの心の中に踏み込めるのは、ローライン様だけなのですね・・・?)アーキレイは少しの寂しさを
覚えた。

それは、自分には向けられない王子からの真の視線を、今日の対面の彼らには向けて欲しいという
アーキレイの願望が、儚くも一瞬で消え去った時でもあったのだった。アーキレイはずっと、うすうす感じ
取っていたのだ。

成人の儀式を境に、カサレス王子は誰も人を寄せ付けず、一人の道を選ぼうとしている事を。

だからこそ、自分では役不足であっても、いつか王子を支える仲間が現れてくれたらと、ずっと心に
思っていたのだった。

しかしそんな思いを微塵も見せず、すぐにアーキレイは、いつも通りにほほ笑むと「カサレス王子、
ローライン様はもうリティシア姫の部屋にお着きになっておいでです。」と伝えたのだった。
カサレス王子はそんなアーキレイの言葉もそこそこに頷くと、急いでリティシア姫の部屋へと向かおうと、
すぐに背を向けたのだった。

とその時、カサレス王子の後姿に、タリオス王が思いもかけず、声をかけたのだった。
「カサレス王子よ。今すぐ私の部屋に参られよ。」カサレス王子に静かにそう言うと、タリオス王は
そのまま先に、王の部屋へと歩き出したのだった。

 カサレス王子は、少し気落ちしながら天井を仰ぎ見ると静かに、「はい父上。今すぐ参ります。」
と王の背中に向かって言ったのだった。

 それからアーキレイの方に向き直ると、テレパシーで、(アーキレイ。ローラインには、もう少ししたら
そちらに行くという事を伝えて下さい。)と言ったのだった。

アーキレイもテレパシーで、(はい分かりました、王子。)と答えると、カサレス王子に短い礼をして、
すぐにリティシア姫の部屋に向かったのだった。
そんなアーキレイの背中を恨めしそうに、カサレス王子は見送ると>、そっと踵を返して、
タリオス王の待つ部屋へと向かったのだった。




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by maarenca | 2014-11-05 19:15 | ファンタジー小説