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THE SIX ELEMENTS STORY No6



 今日このNo6を載せようとしたところ、手違いで3ページ分が消えてしまいました。
最初は冷や汗ものでした。苦笑
急いで書きなおしましたが、前よりも新たな場面が加わったので、終わりよければ全てよし。
というところでしょうか。

それでは、どうぞお楽しみください。

丸子安子




THE SIX ELEMENTS STORY

                   
                        

No6

                  
            


                                                 著 水望月 飛翔





 三人は塔の前に立った。
その塔は、曲がりくねった植物たちが幾重にも絡み合い、イラクサの様な棘がいびつに巻き付いて、
一層、立ち入る者の心を砕くように凍りつかせた。

 先頭を行く長老ゼンスは額に宿るエメラルドに「闇払い」の呪文をかけながら、
彼の持つ「生命の息吹をもたらす杖」を強く床に打ち付けて、後に続く二人の足元の闇を払ったのだった。
 長老ロードスは「天上の光を宿す鏡」に天からの光を集めると同時に、天界へ通じる門を開くよう、
自身の右目のサファイアに「道開き」の呪文をかけたのだった。
 そして長老ユランは「龍の鱗からなる聖なる竪琴」をつま弾きながら、遠く自身の水の領土の聖なる泉
「カーン・サーク」へと意識を飛ばし、自身ののど元に宿るアクアマリンに「開放」の呪文を掛けたのだった。
こうして三人は、おのおの準備をしながら、王妃のいる最上階の部屋を目指して、
長い階段を登っていったのであった。

 いったい、どれだけの長い孤独が作りあげていったのであろう。

すべての生命の鼓動をも凍りつかせるような、冷たい冷気が漂う最上階のドア。
 その前に立つと三人は、一呼吸しゆっくりと目を合わせると、王妃のいる部屋のドアを、
一気に開けて入ったのだった。

部屋の真ん中にある椅子に、茫然と力なく座る王妃。
三人は部屋に入ると、すかさず王妃の周りを取り囲むように立ったのだった。

 ゼンスは額のエメラルドに命じ、大きな声で「呪縛の呪文」を唱えながら杖を大きく振りかざし、
王妃の身体を動けなくした。
 ロードスは右目のサファイアに命じ、「正義の文様」を形作らせながら、先ほど集めた天上からの
光を王妃に当てた。
 ユランはのど元のアクアマリンに命じ、竪琴を大きく弾き鳴らしながら、謎の物体を誘導するように
「道示しの歌」を歌ったのであった。

 こうして三人に取り囲まれた王妃の身体は、硬直したように動けなくなると、少しずつゆっくりと、
宙に浮き始めたのだった。

 すると、次第に王妃の身体が内部から、激しく揺さぶられるように、身体がしなった。
そして、王妃のおなかの辺りが、まるで別の生き物がうごめく様に、大きく波打ちはじめたのだった。
「あっ、あっ、あああ~。」苦しみの声を上げる王妃。
王妃の肩が身体が、大きく上下に動き出すと、しばらくして、謎の黒い物体がゆっくりと、
王妃の口から、長い尾を引くように出てきたのであった。

 ぬめっと床に落ちる様に出てきた謎の物体。
ゆっくりと動き始めると、さまざまな形を作っては、三人に襲いかかってきたのだった。

 耳をつん裂くような悲鳴をあげ、何千もの槍の雨を降らす。
しなやかな鞭の姿となっては、大きく三人に鞭を見舞わせる。
最後に、黒い霧となって、三人を分断し、それぞれ三人の意識を惑わせたのだった。

ドサッと誰かが倒れるような音がした。

「さあ、お前の味方の一人にとどめを刺したぞ。どうだ、息が苦しくなってきただろう。
身体がしびれてきただろう?もうすぐお前の命は尽きる。さあどうする?今ならお前を助けてやろう。
お前のその身体をわれらに差し出せ。さあ、早く。早く。」
 頭の中で、様々な老若男女の声で響く声。
三人は本当に息苦しく、身体がしびれて身動きが取れなくなった。

 
その時。
ロードスは右目に宿りしサファイアに語りかけると、自身の持つ鏡から、先ほど集めた天上からの光を、
自身の右眼に向けて放出させ、その光をサファイアに吸収させたのだった。

「さあ、我が右目に宿りしサファイアよ。今こそ汝の力を示せ。天上の門を開け、天界の兵士を導くのだ。」
するとロードスの美しいサファイアから、「天上の戒めの軛」の文様が現れると、
そこから美しい白の装束を身にまとった、天上界の兵士が次々と現れたのだ。

 そう、彼らこそは天上界を守る兵士。
彼らの姿はみな美しく、黄金に輝く長い髪。天上からいただいた光から創られた剣を持ち、
一点の曇りもない白い装束と、闇を照らす目を持つ兵士なのであった。

 彼らは自身の衣の袖を次々に伸ばすと、謎の物体を縛りあげ、その動きを止めた。
先ほどまでの暗い闇は消え去り、天上の兵士の姿を見たゼンスは、彼の額に宿るエメラルドに
語り掛けたのだった。
「我に宿りしエメラルドよ。今こそ汝の役目を果たせ。この謎の物体を本来の姿へと戻すのじゃ。」
エメラルドの光を自身の杖で導きだすと、そのまま素早く彼の杖で「浄化の印」を結ぶゼンス。
そして、その物体に「浄化の印」を投げ、多い尽くしたのだった。

 叫び声をあげ、もがく謎の物体。
しばらくすると、少しずつその物体の力が弱まりだした。

 それを見てユランは、自身ののど元に宿るアクアマリンに語り掛けた。
「我に宿りしアクアマリンよ。今こそ汝の門を開けよ。我らが領土の聖なる泉
「カーン・サークの泉」から癒しの水を導くのだ。」
水の領土を守る聖なる泉「カーン・サークの泉」から癒しの水が時空を超え、
ユランののど元の石から、弓矢の形となって現れたのだった。

 ユランはその矢を手にすると、自身の竪琴の糸を使って、一気にその謎の物体に放ったのだった。
矢は命中すると、再び水の姿となって「パーン」と砕け散った。

 この世のものとは思えない、叫びの声をあげて身をよじる謎の物体。
すると、それまで形づくっていた力強い黒い物質は、見る見るうちに灰と変わり、
最後にシューッと音を立てて、手のひらに乗る程度の大きさの灰の玉に変わったのだった。

 ポトリと床に落ちた灰の玉。
それを見た三人は、お互いに目を合わせると、ロードスは彼の持つ鏡から、
今度は柔らかな優しい光を放出して、その球をそっと包み込み、ユランは「許しの歌」を歌い、
ゼンスは穏やかに「浄化の呪文」を唱えて、大きく杖を振った。灰の玉は粉々に砕け散り、
その微細に飛び散った細かいかけらは、天上から降り注ぐ光の柱にスーッと入ると、
天上の兵士たちにいざなわれ、そのまま天へと昇っていったのだった。

 その光景を見届けると三人は、ほっとして顔を見合わせたのだった。
すると、先ほどまで込めていた渾身の力に緊張して、疲れ重く感じる身体の存在を思い出すと、
互いに顔を見合わせて苦笑したのだった。

そして、気を失って床に倒れたままの王妃の元に、三人は駆け寄ったのだった。

つづく



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by maarenca | 2014-07-02 14:00 | ファンタジー小説