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THE SIX ELEMENTS STORY No1 No2

   

                    
私が書いているファンタジー小説の応援をずっとして下さっている方には、出版はいつなのか?
気になっていらっしゃるかと思います。
いつも、本当に応援ありがとうございます。

今までも何度か紆余曲折が ありました。

まだ、出版は決まっていませんが、先に皆様と私の小説世界を共有したいただきたいと思い、
先週の土曜日から、フェイスブックでアップしておりました。

これから毎週、水曜日と土曜日に配信したいと思います。
フェイスブックでは今日はすでに2回目ですので、このブログにはNo1とNo2を載せたいと思います。

素晴らしい惑星の住人たちの意志を、どうぞ受けとって下さい。                            


丸子安子   (作家名 水望月 飛翔  みなづき ひしょう)


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THE SIX ELEMENTS STORY




No1




                                    著 水望月 飛翔




第1章
              1 SACRIFICE



 この大地が何処なのか・・・
その時代を何と呼べばいいのだろうか・・・。
知らぬ処。知らぬ星。
名もなき星のその場所に、「五つの民」と呼ばれし者達が暮らしていた。
そうして彼らは、おのれ達とは違う他の民達との交流を完全に絶ち、それぞれ永い時を過ごしてい
たのだった。

何千年という気の遠くなるような長い断絶の時を経て、民達はやがて、それぞれ異形の姿へと
変わっていったのだった。

空・水・緑・大地・炎の五つの属性に分かれた民。

 翼を持つ空の領土の民は、高き断崖の壁で自身の領土を守り、その中に広がる広大な空間に、
6つの島をテレパシーで浮かべ、暮らしていたのだった。
高き意志、高き理想。彼らの祈りは天へ天へと突き抜ける。
そんな孤高の空の民はいつしか「碧き空を翔ける民」と呼ばれるようになった。

 水陸どちらでも呼吸ができる肺とエラを持つ水の民は、青緑のまだらで滑らかな皮膚を持ち、
長い手足には優美なヒレを漂わせ、6つの色の湖を領土として暮らしていたのだった。
 清涼なる意思で天と地のすべての水を司る。
そんな清廉な水の民はいつしか「清き水と戯れる民」と呼ばれるようになった。

 太古からなる植物が生きる深緑なる森に住む緑の民は、身体の法則を持たぬ自由な民。
彼らは自身の魂の他にもう一つ、身体を持たぬ未熟な魂を自身の身体に住まわせ、
多くの経験を共に分かち、暮らしていたのだった。
そんな自由な緑の民はいつしか「深緑と共に生きる民」と呼ばれるようになった。

 広大なる草原に暮らす大地の民は、常に天と大地に祈りを捧げ、自然の声に耳を傾け、
自然からの恩恵に感謝し、自然の猛威に畏怖を持って暮らしていたのだった。
生まれた時から祈りの文様を身体に刻印し、地に足を付け暮らす民。
そんな誠実な大地の民はいつしか「雄大なる大地をいだきし民」と呼ばれるようになった。

 熱いマグマが休むことなく、地下で活動を続ける領土に住む炎の民は、「城の囚われ人」と
なっている王の身を案じる熱き血潮の民。鳥の羽と鈴を身につけ、身体を震わせては、
感謝の気持ちを王に届けと踊る民。
そんな情熱の炎の民はいつしか「熱き炎を友とする民」と呼ばれるようになっていったのだった。

 そして、そんな彼らの他にもう一つ。
身体を持たず、自己と他者との違いを持たぬ民。
それが、「風と共に謳いし民」と呼ばれる風の民であった。
しかし彼らには謎が多く、彼らの事を深く理解する者はいないに等しいのであった。

 永い永い隔絶ののち、それから始まる彼らの物語。
これは、そんな彼らが住む惑星の物語なのである。

 ここは朝早い霧が立ちこめた大地の領土の中の森。
一人、まだ植物たちが眠りから覚めやらぬ森に佇む少年あり。
年の頃はまだ7,8歳の少年だろうか、その幼い身体を、朝の冷たい冷気を含む草むらに投げ出して、
身体を震わせ泣いていたのだった。

「母上、、、。なぜ?なぜ、母上がこの大地の城から追い出されなければいけないんだ。」 
自分の幼い胸に言葉を投げるように叫ぶ少年。
「どうして?僕だけ何も教えてもらえないんだ。」
そうして少年は身体を起こすと、悔しそうに湿った大地に、固く握ったこぶしを何度も振り下ろしては、 
泣きくずれたのだった。

ここは人知れぬ森の中。
ただこだまするは、少年のむせび泣く声のみ。
彼の名はユーリス・マレンスタイン。
この大地の領土の王子である。

 彼の屈託のない笑顔は、この森に息づく全ての生き物たちを魅了する、そんな明るいユーリス王子
なのであった。しかしこの日の朝は、いつもじゃれ合っていた森の木々も動物たちさえも、
近づけぬ程の深い悲しみに一人、身を置いていたのだった。
そう、彼の幼い肩に少しずつ、柔らかな陽の光がほほ笑んでいるのも知らず、
鳥たちの朝の歌声もなぐさめも、彼の耳には届かなかったのだった。
ユーリス王子は、突然王子の元からいなくなった、優しい王妃の温もりを必死に思いだそうと
していたのだった。

 あれは、二日前の肌寒い日の事、、、。
この日、王子は父である大地の王と共に、大地の領土の西の端にある村々を巡回していたのだった。
 それは広く大地の民たちとの交流の場であり、王子たる大事な務めの儀式でもあったのだった。

 この惑星は不思議な星。
それぞれの領土内の民や自然界一切と、天に瞬く星の生命エネルギーが一体となっているのであった。
そして、領土内のエネルギーのゆがみや不協和音は、そのまま自然界、天界にも表れるもの。
ゆえに王は、常に領内のエネルギーを平穏に保つよう、気を配っていたのであった。王自身、
領内のエネルギーと一体化しているため、心身ともに美しく保たねば自身の領内を収める事は出来ない。
また、王が崩御する前に正当なる継承者を決めなければ、王の崩御と共にその地は全て、
崩れ去る運命にあった。

全ての命のエネルギーがつながっている惑星。
ゆえに、それぞれの領土の夜空にきらめく星達も例外ではない。
この惑星は我ら地球の大きさの3分の2程の大きさ程。
しかし、周りを囲む星達は、地球から見る星達よりももっと近くに存在し、
いつもオーロラのような色とりどりの輝きと、心静める美しい音を奏でているのだった。
 そんな星達はまるでそれぞれ意思があるかのように、少し近づいてきた周りの星が集まっては、
雪の結晶の様な美しい文様を形づくるのだった。

そしてまた星達は静かに動くと、バラバラになり、また近くにある違う星達と新しい文様を作る。

そうして、毎夜美しい夜空をこの惑星の住人に惜しみなく見せるのだった。
しかし、その星達の美しさも、その地の領土のエネルギーの違いにより、高貴な輝きの夜空から、
少しゆがんだ苦痛の色を見せる夜空まであったのだった。

 だからこそ、それぞれの王族の地位に生まれし者たちは、その領内の秩序と
安定を、常に心がけていたのであった。




No2


 「父上、この度は西の村のみなさんにお会いできて、本当にようございましたね。」
ユーリス王子は、先ほどまで走らせていた馬の速度を緩めると、前を行く父王に声をかけたのだった。
王は王子の言葉に振り向き、手綱を引くと、そのまま速度を落としてユーリス王子の横に並んだのだった。
「そうだな、ユーリス王子。皆もそなたの成長した姿を見る事が出来て、本当に喜んでいたのう。
そなたの皆にかける言葉もしっかりしてきて、わしもほんに嬉しく思う。」
そう言うと、暖かくユーリス王子にほほ笑んだのだった。

「父上。」そんな父王からの言葉に、嬉しく思う王子なのであった。
しかし、少し照れくささもあってか、王子は自身の表情を隠すように、
「さあ、母上にも早く今回のご報告をしなければいけませんね。」と言うと、手綱を一気に引き、
馬を走らせるユーリス王子なのであった。

「王子、急にそのように馬を走らせては危のうございます。どうか、お待ちを。」
慌てて、王子の後を追う従者。
それを見て、王と王に使える従者たちは思わず笑いをもらしたのだった。

 そんな晴れやかな王の一行は、夕暮れの陽を受けながら、城に到着したのだった。
西の村から帰還した王と王子の一行は、身体は疲れてはいたが、くつろいだ表情で城に近づいていくと、
それとは対照的に、第一の執政官が顔をこわばらせながら、王の元に息せき切って近づいてきたのだった。
「大地の王。大変でございます。王妃様が、王妃様が・・・。」
そう言うと、執政官は王を見るなり天を仰ぐと、力なくその場にくずおれたのだった。
「王妃が、いったいどうしたと言うのだ?」
王は急いで馬から降りると、その場に突っ伏した執政官を抱え上げ、問いただそうとしたのだった。
しかし、王の城から今まで感じた事のない不穏な気配を感じとると、王は執政官をその場に残して、
急いで中に入っていったのだった。

王の広間は高い天上の吹き抜けになっている。
頑丈な石造りの壁と、細やかな木の組み細工で何層にも重なった天井が織りなす、重厚な作りになって
いた。
高い天上に張り巡らされた幾重もの梁は、祈りの荘厳さを表していたのだったが、
その姿を覆い隠すように広間には濛々と、黒煙が充満していたのだった。

「王妃様。どうか、どうかお気をたしかに。」
「誰か、王妃様をお止めするのだ。」
王の広間に入り、黒煙のその先に目を凝らした大地の王。
王はその場に立ち尽くし、絶句した。
王の広間は熱い炎で包まれ、城に仕えるもの達は広間の真ん中にいる王妃に近づく事ができず、
慌てふためき、右往左往していた。

「これは一体、なんということだ。」王は目を疑った。
広間の中央を、うつろな目で力なく歩く王妃。
王妃が口の中で呪文を唱えながら、王妃の石の力で炎を作りだしては、広間に火を放っていたのだった。
王は茫然と立ち尽くした。と、そこへ駆け寄る学者達。
「大地の王。どうか王のお力で、王妃をお止めくだされ。このままでは、この城は焼け落ちてしまいまする。」
おろおろする学者達を目にして王は、「そなたたちは一体何をしておるのだ。なぜ、王妃を止めぬのだ。」
と、学者達を一括した。
王の言葉に、一瞬身を縮めた学者達であったが、その中で一番古老の学者が一人前へ出ると、
王にうやうやしく答えた。

「我らが誇り、雄大なる大地の王。恐れながら申し上げまする。残念ながら我らの石の力では、
王妃様の石の力を制御する事はできませぬ。王妃様をお止めできるのは我らが王のみ。
どうか王のお力で、王妃をお止めくだりませ。」そう言うと、いつにも増して、深々と頭を下げたのだった。
 再度の懇願を受けて王は、すぐさま王妃に顔を向けると、呪文を唱え、王の右手に宿りし石を
呼び起こしたのだった。
「我の右手に眠りしトパーズよ。今こそ我の声に応えよ。王妃の左手に宿りし石の力を封じ込めるのだ。」
王が呪文を唱え命じると、王の右手のトパーズから何本もの弦が伸び、王妃の左手に巻きついたのだった。

 王妃は動きを封じられると、のけぞるようにして、左手を振り払おうとしたのだったが、
その時、王妃の脳内に直接王の声が響いたのだった。「王妃よ。どうか落ち着いてくれ。
我が愛しき大地の王妃よ。」
 王妃は意識の遠くで王の声を聞き届けると、少しずつ本来の王妃の意識を取り戻したのだった。

遠く、黒煙の向こうに見える懐かしい王の姿。
「あなた・・・。」王の姿を目にし、固く唇をかむ王妃。
王を懐かしそうに見つめる王妃の目には、みるみる涙があふれ出たのだった。
そうして、王にほほ笑んだかと思った次の瞬間。
王妃はいま一度呪文を唱えると、今度は広間に広がる炎を、王妃自身に向かわせたのだった。
「王妃。」自身が作りだした炎に身を包まれる王妃。
王は叫び、王妃を助けようと傍に向かおうとしたのだった。しかしすぐに周りの従者に取り抑えられ、
王妃の傍に近寄ることができなかったのだった。
王妃はその光景を目にすると、意を決したように王に別れを告げたのだった。
「あなた・・・。ごめんなさい。」しかし、そんな王妃の最後の言葉は、王に届く事はなかったのだった。

 そして、言い終わるや否や王妃は、苦痛と呼吸困難で意識を失うと、その場に力なく倒れたのだった。
王妃が意識を失うと、王妃の魔法から生まれた炎も次第に小さくなり、やがては消えていったのだった。
 王は従者の手を振りほどくと、急いで王妃の元に駆け寄った。

色とりどりに染められた美しかった王妃の衣服は、もはやその面影はなく、ぼろのようになって、
細い黒煙をいくつも上げていた。
しかし、なによりも優しい笑顔をたたえていた王妃の顔は、見るも無残に焼けただれ、
その面影を大きく変容させていたのだった。
「王妃よ。」王は、ゆっくりと王妃の身を抱きかかえると、自身の右手の石に命令し、癒しの目を芽吹かせ、
王妃の身体を包ませたのだった。
 そうして王の右手から伸びた蔓は、幾重にも重なって、次第に眉のように王と王妃を包み込んだのだった。
「母上?」今まで広間の外で、従者に行く手を阻まれていていたユーリス王子は、
ようやく広間に入ると、焼けただれた王妃をいだく王の姿を見たのだった。

「母上。」「ユーリス王子。近づいてはなりませぬ。どうか、ご辛抱を。」
王子の身を案じた従者に、また取り抑えられたユーリス王子は、王と王妃をじっと見つめたのだった。

「はなして。母上の傍に僕も行く。」
従者の手の内でもがく王子。
そんな王子に王は顔を向けると、「ユーリスよ。今は母に近づいてはならぬ。そなたは我が大地の領土を継ぐ大事な身なれば、しかと自身の役目を思い出すのだ。」険しい表情でそう言うと、従者に命じ、ユーリス王子を王子の部屋に下がらせたのだった。
「母上。」従者に腕を掴まれて広間から出された王子は、何度も振り向きながら王妃を呼んだのだった。


つづく


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by maarenca | 2014-06-18 13:13 | ファンタジー小説